穢れ払い
ネズミの死骸はいわばスタートの合図だったみたいだ。


その日から俺に対して目に見える攻撃が始まった。


「なんだよもう……」


俺はブツブツと１人文句を言いながら校舎の一階を歩いていた。


俺がトイレに立っている間に次の授業内容が変更になっていたようで、教室を移動しなければならなかったのだ。


友人だったヤツらはそれを俺に伝えることなく先に授業へ行ってしまった。


残された俺はギリギリになったようやく情報を聞いて一階まで下りてきたところだった。


あと１分ほどでチャイムが鳴ってしまう。


時計を確認して早足になったその時だった。


吹き抜けになった頭上の廊下から突然目の前に植木鉢が落ちてきたのだ。


それは俺の目の前を通り過ぎ、ガシャンッ！と音を立てて砕け散った。


「え……？」


一瞬なにが起こったのか理解できず、呆然としてしまった。


植木鉢は俺の鼻先をかすったようで微かな痛みを感じた。


指先で鼻の頭に揺れてみると、微かに血が滲んできているのがわかった。


ハッと我に返って頭上を見上げてみても、もうそこには誰もいなかったのだった。
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