穢れ払い
芸術の場で権限を振りかざすなんてとんでもないことだ。


審査は公平に行ってもらわないと困る。


もし、平山先生が本当にそんなことをしているとしたら、許せなかった。


真相が知りたいと思いながらも、誰にも相談ができなかった。


煮え切らない気分を抱えたまま、その日も部活動に励んでいた。


だけどあたしの心は今大きく揺らいでいて落ち着かない。


それが線にも表れていて、描けば書くほどひどくなっていくのだ。


あたしは自分の絵を見て大きくため息を吐きだした。


こんなんじゃコンテストに参加するなんて無理だ。


もっと、メンタルを強くしなきゃいけない。


今日はもう帰ろう。


ゆっくりすれば、きっとまた描けるようになる。


そう思って帰る支度を始めた時だった。


「今日はもう帰るのかい?」


そう、声をかけられたのだ。


教室の中にはもうあたししか残っていなかった。


「はい。あまり調子が良くないので、ゆっくり休むことにします」


そう言うあたしの絵を先生は覗き込んだ。
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