穢れ払い
「なにこれ……」


こんな光景初めて見た。


汚れが数珠を跳ね返すなんて!


平山先生はすぐに目の光を宿し、あたしへ向けてほほ笑みかけてきた。


「自分から誘うなんて、なかなか積極的だね」


ニヤついた笑みを浮かべてあたしの上に馬乗りになる。


あたしはもう1度平山先生の胸に数珠を押し当て、胸に手を入れた。


奥深くまで。


心臓に届くまで手を挿入していく。


しかし、途中でまた跳ね返されてしまった。


あたしは愕然として平山先生を見上げた。


この人の汚れは一体どうなっているんだろう?


汚れ自体があり得ない力を持っているとしか思えなかった。


「そうだ。教室に鍵をかけておかないとね。君も、他人に見られるのは嫌だろう?」


そう言う平山先生の顔はモヤで真っ黒に染まっていく。


憎悪にまみれたその顔に背筋が凍りついた。
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