穢れ払い
そうだ。


あたしは平山先生の魂を取るために自分から美術室へ向かったのだ。


けれど、先生の汚れは強く、何度も跳ねかえされてしまった。


心臓に手が届く寸前で汚れにあてられてしまったのだ。


すべてを思い出して右手を確認してみると、黒いモヤははがれ、数珠もつけたままだった。


あたしはひとまず安堵のため息を吐きだした。


数珠を壊されなかっただけ良かった。


「でもどうして雄大がそこにいたの?」


聞くと、雄大はゆっくりと口を開いた。


「陽菜を……守りたかった」


それはまるでカタコトのような日本語だった。


まだ感情が戻り切れていない雄大が、必死で自分の気持ちを伝えてくれているのだ。
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