穢れ払い
でも俺は裏サイトを表示させたスマホを机に置き「これ見てくれよぉ! 俺への中傷ヤバくないか!?」と、明るい声で言った。


普段ならみんなが俺のスマホを確認して、それから大騒ぎするところだ。


『お前なにやったんだよ』とか『めっちゃ嫌われてんじゃん!』とか、軽口を叩きあって。『こんなもん気にすんなよ』と言ってくれる。


俺はそれを期待していたんだ。


そうすれば俺はみんなのことを信用することができるから。


でも、今日は……。


スマホ画面を見ても誰もなにも言わなかったのだ。


一様に冷めた表情を俺へ向ける。


そして、わざとらしいため息を吐きだした。


友人の1人が「なんか、つまんねぇな」と舌打ちするのが聞こえてきた。


その反応に心臓がドクンッと大きく跳ねる。


嫌な予感が的中したのではないかと感じて、鼓動が速くなっていくのを感じる。


全身の血液が急速に冷えて行くのを感じる。
< 94 / 201 >

この作品をシェア

pagetop