183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣はなんてことない顔をして、淡白な声で説明する。

両親の離婚は真衣が四歳の時のことで、理由は父親の不倫。

離婚後に一度会ったことがあるらしいが、真衣の記憶に残されておらず、寂しさも恋しさも全くないという話だ。

「私が社会人になるまで、お母さんと妹と三人暮らしだったの。おじいちゃんはお母さんの父親で、よく会ってたけど、一緒に住んだことはないんだ」

実家は都内の1LDKの集合住宅で、食品会社に勤めている三歳下の妹が、今はひとりで住んでいるらしい。

母親は、昨年からカナダにいるという。

「カナダには仕事で?」

「語学留学。やってみたかったんだって。おじいちゃんが資金援助してくれたとはいえ、娘ふたりを大学まで出すのに必死に働いてくれて。妹が社会人になった時に、今後は自分のために生きると宣言してた。メールで定期的に連絡してるけど楽しそうだよ。色んな国の若い友達ができたんだって」

日本にいないから挨拶はいらないと、真衣は言った。

「いたとしても気にしなくていいよ。お母さん、さっぱりした人だし」

(似たもの親子ということか。それならなおのこと、会ってみたかったな……)

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