183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣も何度もそれを味わい、気持ちの切り替えの早さには自信を持っていた。

それなのになぜ、こんなに怒っているのだろう……真衣自身も疑問に感じて目を瞬かせれば、意味ありげな笑みを浮かべた和美が、真衣の耳に口を寄せた。

「きっと、副社長に言われたから余計に腹が立つんだよ。旦那には苦労をわかってほしかった、という気持ちなんじゃない?」

「そう、かも……。嫌な気分なのは自分のせいだったんだ。あっちはいつも通りの仕事をしていただけなのに。うわぁ、ショック。甘えた考え方をしていたってことか……」

「真衣が甘えたくなるなんて、さすが副社長。結構うまく夫婦をやってるみたいだね。これは、あいつを諦めさせないといけない展開かな……」

「あいつ?」

真衣と半歩の距離で向かい合う和美が、苦笑している。

確か前にも、あいつがどうのと、歯切れの悪いことを言われた気がする。

和美は教える気がないようで、小さく首を横に振ると、話を戻した。

「腹立たしく思うのも、相手に認めてもらいたいと期待するのも、恋心の一面だよ。一緒にいるうちに好きになったんじゃない?」

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