183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
到着から十五分ほどは、あちこちで名刺交換や挨拶が交わされていたが、開館セレモニーが始まると、急に静かになった。
ハセガワロイヤルホテルのオーナーは、五十代に見える恰幅のいい男性だ。
半円を描くように並んだ列席者に向かって、スタンドマイクを前に謝辞を述べている。
それを聞きながら、真衣は隣に立つ柊哉をチラチラと見ていた。
彼が着ている紺色スーツは日常的に見ているものだが、ネクタイとポケットチーフが光沢のある水色で、パーティー仕様である。
ジャケットの中のベストはグレーで、色を違えたところがお洒落に思えた。
(憎らしいほど、かっこいいよね。見た目だけは……)
真衣の視線に気づいたのか、柊哉が横を向いた。
なに?と言いたげな視線に、真衣は小さく首を横に振る。
すると、顔を寄せられ、耳打ちされた。
「挨拶長めの人なんだ。あと十分はかかると思う。だから先にトイレ行っとけって言ったのに。漏らすなよ」
「トイレに行っていいか聞こうとして、柊哉を見ていたんじゃないよ。こういう場に慣れてないから落ち着かなくて……」
見惚れていたとは言えず、小声でそのように弁解した。
ハセガワロイヤルホテルのオーナーは、五十代に見える恰幅のいい男性だ。
半円を描くように並んだ列席者に向かって、スタンドマイクを前に謝辞を述べている。
それを聞きながら、真衣は隣に立つ柊哉をチラチラと見ていた。
彼が着ている紺色スーツは日常的に見ているものだが、ネクタイとポケットチーフが光沢のある水色で、パーティー仕様である。
ジャケットの中のベストはグレーで、色を違えたところがお洒落に思えた。
(憎らしいほど、かっこいいよね。見た目だけは……)
真衣の視線に気づいたのか、柊哉が横を向いた。
なに?と言いたげな視線に、真衣は小さく首を横に振る。
すると、顔を寄せられ、耳打ちされた。
「挨拶長めの人なんだ。あと十分はかかると思う。だから先にトイレ行っとけって言ったのに。漏らすなよ」
「トイレに行っていいか聞こうとして、柊哉を見ていたんじゃないよ。こういう場に慣れてないから落ち着かなくて……」
見惚れていたとは言えず、小声でそのように弁解した。