183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「純白のウエディングドレスを着て、指輪交換をしてみたい。フラワーシャワーとブーケトスもね。挙式と入籍はセットだと思っていたのに、おかしな結婚をしたものだよね。プロポーズさえされてない」

『俺と結婚しろ』

二カ月ほど前に料亭で柊哉に言われたのは、ポロポーズではなく、契約交渉だと捉えている。

味もそっけもなく婚姻届けに記入し、愛のない新婚生活がスタートしたのだ。

真衣の憧れる結婚とはだいぶ違う。

「お前もそういうのに憧れるんだな……」

意外そうな目で見られた後、繋いでいる手を強く引っ張られた。

「えっ……?」

真衣は柊哉に片腕で抱かれている。

スーツの胸に顔をあてて心臓を大きく波打たせていたら、耳元で囁くように言われる。

「友情じゃなく、これは愛情だ。お前を誰にも奪われたくない。俺と結婚して」

(また、私の漫画……)

幼馴染で会社の同期という関係の男女が、これは友情なのか愛情なのかと心を揺らす様を描いたその漫画も、真衣のお気に入り。

ヒロインに感情移入しすぎて、プロポーズのシーンでは嬉し泣きしたけれど、今は心に虚しい風が吹く。

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