183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「嘘だ。耳まで赤いよ。もしかして、開館セレモニーに付き合わせたのは、ここで私に指輪を渡そうとしていたから? 企てておいて恥ずかしがるなんて、可愛いところがあるんだね」

つい、からかうような言い方をしてしまったのは、真衣も照れくささを感じているからだ。

喜びに弾む鼓動は静まってくれないし、頬が緩みそうになってしまう。

けれども、やられ役に徹してくれる彼ではない。

「言わせておけば、お前は……」

ムッとした顔で振り向いた柊哉が、前髪を掻き上げた。

その仕草はどこか蠱惑的で、形のいい額が露わにされると、急に男の顔付きになる。

作為的な感じもする色気のある視線を送ってきたかと思ったら、手荒に腰を引き寄せられた。

「な、なに?」

顎先まですくわれて目を丸くする真衣に、形勢逆転とばかりに柊哉がニヤリとする。

「挙式といえば、誓いのキスだろ」

「えっ!? 私に手を出さない約束が――」

「黙れ。夫をからかう妻が悪い」

目を閉じる間も与えられず、一瞬で唇を奪われた。

(約束破り……)

< 129 / 233 >

この作品をシェア

pagetop