183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
素直に喜べないのはもっと一緒にいたいから。離婚まであと73日

夏真っ盛りの七月下旬。

高層ビルが乱立するこの辺りは、時々ゲリラ豪雨に襲われる。

午前中の三十分ほどバケツをひっくり返したような雨が降り、昼休みに入って数分過ぎた今は、嘘のように晴れていた。

眼下のアスファルトにいくつもの水溜りが見える。

涼しい副社長室にいながら、外の蒸し暑さを想像し、柊哉は眉間に皺を刻んだ。

啓介は秘書課にいるはずで、今はひとりである。

執務机の後ろのブラインドに双眼鏡を突っ込み、五分ほど前から社屋の出入り口を見張っていた。

(そろそろだよな……来た)

待っていたのは、真衣である。

同期の和美とふたりでランチへ出かける姿を期待していたのだが、今日は四人。

真衣に片思いしている小林亮と、もうひとり、名前はわからないが事業部の若い男も一緒だ。

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