183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣はキョトンとしてから、眉を寄せて訝しげに問う。

「柊哉と須藤さんは、そういう関係なの……?」

どうやら柊哉の言い方が悪かったせいで、男同士で恋人関係にあるのかと思わせてしまったらしい。

「違う!」と焦って否定する柊哉の斜め前では、啓介が眼鏡の奥の瞳を険しくしている。

紙袋の中から五百ミリリットルの緑茶のペットボトルを一本出すと、柊哉の頭を強めに叩いた。

「いてっ」

その後には真衣にも非難の視線を向ける。

「まったく、似たもの夫婦だな。俺と柊哉はガキの頃からの腐れ縁で、給料弾むから秘書をやってくれと頼まれただけだ。俺だといい子ぶる必要がないから楽なんだろう。そういう点では真衣さんも同じ。こいつの面倒を見る役目を永久に譲りたい。ちなみにデスクに置かれているあの双眼鏡は、真衣さんと男がランチに出かける様子を、嫉妬を込めて覗き見するためのものだ」

「け、啓介!」

双眼鏡を持ち込んだのはお前だろうと反論したかったのだが、冷めた顔した啓介が言わせてくれない。

今度は真衣についての情報を、早口で話す。

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