183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「俺が弁当を買って戻ったら、真衣さんが秘書課の前にいた。俺を訪ねてきた理由は、お前の誕生日プレゼントの相談だ。贈るなら柊哉が喜ぶものにしたいんだと」

「須藤さん、柊哉には内緒にしてと、お願いしたじゃないですか!」

今度は真衣が焦り顔で抗議している。

「相思相愛でよかったな。あとは夫婦で話し合え」

呆れ顔の啓介は話を強制終了させると、ミーティングテーブルに柊哉の分の弁当と緑茶を置き、クールに部屋を出ていった。

ふたりきりにさせられて、柊哉の鼓動が高まる。

真衣とふたりでいるのには慣れているはずなのに、なぜだろう。

柊哉の三十回目の誕生日は、来週の土曜だ。

真衣が祝おうとしてくれたことに驚きと、喜びを感じているからなのかもしれない。

正面に立つ真衣の唇が、不満がある時のアヒル口になっている。

柊哉は平静を装い、あえて淡白な口調で言う。

「これから弁当食うけど、半分やろうか?」

「私、うどん屋で食事をすませてきたから……って、知ってるでしょ。双眼鏡で覗いてたんだから。もしかして、まだ亮が私のことを狙ってると思ってるの?」

「思ってる」

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