183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣の動悸が伝わってきて、柊哉のS心が満たされる。

自分の言動にタジタジになる彼女は珍しく、可愛らしい。

公私の区別はつけなければと思い、キスの誘いは冗談であったのだが、したくなる。

ふっくらとした頬や綺麗な形の耳、細い首を桃色に染めた真衣に欲情が掻き立てられた。

吸いよせられるように、うなじに口をつけ、舌先で撫でてしまう。

「んっ……」

初めて聞く真衣の甘い声に真っ先に反応したのは、彼女自身であった。

慌てたように柊哉の腕を振りほどいて膝から下りると、ドアまで逃げる。

真っ赤な顔で振り向き、腰に手をあてて怒りだす。

「こんなところで襲うなんて、なに考えてるのよ!」

「家でならいいのか?」

期待とからかい半分で問えば、「いいわけないでしょ!」とまた怒られる。

「調子に乗らないで。ああ、もう昼休みが終わっちゃう。誕生日プレゼント、なにが欲しいのか早く言って」

「別に、なんでもいい」

「なにそのやる気ない返事。もういい。無難にネクタイにするから。あれこれ悩んで損した」

午後の業務開始は十三時からで、あと三分しかない。

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