183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
父親を見る柊哉の顔に驚きがないのは、あらかじめ電話で話を聞かされていたためだ。

社長就任については、いずれそうなるものと思い、日々研鑽を積んできたので、覚悟はとっくに決まっている。

ただし、予想よりずいぶん早い出世に、他の者たちがついてきてくれるだろうかという不安はあるが。

説明を聞いて驚いている他の重役たちは、全員柊哉より年上である。

柊哉の次に若いのは、義理の兄である白川専務で、四十歳だ。

柊哉とは逆側の、会長の隣に着席している白川専務を見れば、渋い顔をしている。

普段は朗らかで温厚な彼が、そのような顔をするのは珍しい。

年若い義弟の昇進を心配しているのか、それとも不満があるのか……。

会長が実子である柊哉を後継ぎに考えていることを、知らないはずはないと思うが、努力次第で自分がそうなれる可能性も捨てきれなかったのかもしれない。

義理とはいえ、柊哉の兄なのだから。

(不服そうだな。だが、義兄さんは会長に意見できないだろう。そういう性格だからな。他は……)

最初に意見を述べたのは五十代の男性で、芹沢家の親族ではない斎藤常務だ。

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