183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
張り付けたような好青年風の笑みを浮かべ、柊哉は会議室を後にした。


翌日、柊哉の一日は目まぐるしさの中で過ぎ、あっという間に夕方になる。

今までの仕事に加え、小峰社長の代理として社長業務も本日より引き継いだので、会議三つに出席した後は膨大な量の書類に目を通していた。

今は副社長室にひとりである。

(このファイル、俺が確認しやすいように要点がまとめられている。さすが啓介だな。あいつがいなかったら、今日は帰れないところだった……)

時刻は十八時で、終業時間だ。

残業がなければ、真衣は帰り支度をしている頃だろう。

柊哉の仕事はあと三時間ほどで終わると思われ、いつもより少々帰宅が遅くなる。

それを真衣に伝えようとスマホを手に取った。

メッセージアプリを開いたが、送信する前に、ついトーク画面を遡って見てしまう。

【21】
【りょ。ゴマかポン】
【ポ→ゴ】

これは一昨日の、今くらいの時間にやり取りしたもので、他人が見れば意味がわからないと言われそうだ。

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