183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
(そうだ。サインした下半期の事業計画書、早めに啓介に渡した方がいいよな……)
秘書課に内線電話をかけようと机上の受話器に手を伸ばしたが、思い直して立ち上がった。
(昨日今日と、啓介には随分忙しい思いをさせているからな。俺から行こう。数時間座りっぱなしで、体も動かしたい)
副社長室を出て、廊下を進む。
この階は重役の個室と、応接室、会議室、秘書課があり、他の階と違って廊下にはフロアカーペットが敷かれている。
靴音の響かない廊下を秘書課の方へ進んだ柊哉は、角を曲がろうとしてピタリと足を止めた。
真衣がいるのだ。
彼女は数メートル先にある秘書課のドアに、耳を当てている。
その顔は、微かにしかめられていた。
(盗み聞きか? あいつはどこのスパイだよ……)
心の中でツッコミを入れた柊哉も、廊下の曲がり角に身を隠し、真衣を盗み見する。
真衣が秘書課に用があるとすれば、柊哉のことで啓介を呼び出すくらいだろう。
先週の、誕生日プレゼントの相談の時のように。
だがそれは、ネクタイという結論が出たはずだ。
他になんの相談があるというのか、見当がつかない。
秘書課に内線電話をかけようと机上の受話器に手を伸ばしたが、思い直して立ち上がった。
(昨日今日と、啓介には随分忙しい思いをさせているからな。俺から行こう。数時間座りっぱなしで、体も動かしたい)
副社長室を出て、廊下を進む。
この階は重役の個室と、応接室、会議室、秘書課があり、他の階と違って廊下にはフロアカーペットが敷かれている。
靴音の響かない廊下を秘書課の方へ進んだ柊哉は、角を曲がろうとしてピタリと足を止めた。
真衣がいるのだ。
彼女は数メートル先にある秘書課のドアに、耳を当てている。
その顔は、微かにしかめられていた。
(盗み聞きか? あいつはどこのスパイだよ……)
心の中でツッコミを入れた柊哉も、廊下の曲がり角に身を隠し、真衣を盗み見する。
真衣が秘書課に用があるとすれば、柊哉のことで啓介を呼び出すくらいだろう。
先週の、誕生日プレゼントの相談の時のように。
だがそれは、ネクタイという結論が出たはずだ。
他になんの相談があるというのか、見当がつかない。