183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
それで仕方なく、「わかった。着るから」と真衣が折れたのだ。
(乙女漫画だとヒロインと一緒にドキドキを楽しめるのに、現実は難しい。意識しすぎて、普通に話せなくなる……)
カーディガンを肩掛けした真衣が、縁日を楽しむことに意識を戻して進んでいると、あることに気づいた。
(やっぱり、そうだよね……)
子供用のお面がたくさん飾られた屋台前で足を止め、考え込んだ真衣に、柊哉が迷惑そうな視線を向ける。
「お前は一体いくつだよ。いい大人がアニメキャラのお面を被って歩くのはやめてくれ。どうしても欲しいなら、買って帰って家で被れ」
「どのお面にしようか、考えていたんじゃないよ。あのね……」
着いた時から見覚えのある風景のような気がしていたが、縁日はどこも似たようなものだからと、さほど気にしていなかった。
けれども、日吉那神社と書かれたカラフルな吊り提灯や、木立と池のあるこの公園、人混みの向こうに見える社の屋根瓦に、丹塗りの鳥居を見ていると、子供の頃の記憶が呼び起された。
「ここ、子供の頃に毎年来てた。小学校の低学年までかな。引越す前のおじいちゃんの家が近くにあったんだ」
(乙女漫画だとヒロインと一緒にドキドキを楽しめるのに、現実は難しい。意識しすぎて、普通に話せなくなる……)
カーディガンを肩掛けした真衣が、縁日を楽しむことに意識を戻して進んでいると、あることに気づいた。
(やっぱり、そうだよね……)
子供用のお面がたくさん飾られた屋台前で足を止め、考え込んだ真衣に、柊哉が迷惑そうな視線を向ける。
「お前は一体いくつだよ。いい大人がアニメキャラのお面を被って歩くのはやめてくれ。どうしても欲しいなら、買って帰って家で被れ」
「どのお面にしようか、考えていたんじゃないよ。あのね……」
着いた時から見覚えのある風景のような気がしていたが、縁日はどこも似たようなものだからと、さほど気にしていなかった。
けれども、日吉那神社と書かれたカラフルな吊り提灯や、木立と池のあるこの公園、人混みの向こうに見える社の屋根瓦に、丹塗りの鳥居を見ていると、子供の頃の記憶が呼び起された。
「ここ、子供の頃に毎年来てた。小学校の低学年までかな。引越す前のおじいちゃんの家が近くにあったんだ」