183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
柊哉がハッとした顔をして、真顔の真衣と見つめ合う。
数秒の沈黙の後に、柊哉が先に口を開いた。
「まさか……な」
「う、うん。まさか、そんなことはないよ。私の名前、えりかじゃないもの」
「そうだよな」
柊哉の思い出の女の子も祖父の家が近くにあったという話であったが、それだけの共通点で真衣がその子だと思うのは浅はかだ。
なにより名前が違うので、ふたりは馬鹿な疑惑を抱いてしまったと、笑ってその話を流した。
気になる屋台に立ち寄り、たこ焼きもクレープもケバブも分け合って食べた。
柊哉の思い出をなぞるように、ヨーヨー釣りや型抜き、射的も楽しみ、広い縁日会場を二往復半してから、神社の鳥居の下にたどり着いた。
スマホで時刻を確認すると、十七時五十分。
到着から二時間近く経っていた。
空は西の端にうっすらと茜色を残し、紫がかる空には星が瞬いている。
境内へと続く石階段には、屋台料理を食べながらたくさんの人が腰掛け、休憩していた。
浴衣姿の小さな姉妹に焼きそばを食べさせている母親もいて、真衣は鳥居の太い柱の横から、その親子をぼんやりと見つめていた。
数秒の沈黙の後に、柊哉が先に口を開いた。
「まさか……な」
「う、うん。まさか、そんなことはないよ。私の名前、えりかじゃないもの」
「そうだよな」
柊哉の思い出の女の子も祖父の家が近くにあったという話であったが、それだけの共通点で真衣がその子だと思うのは浅はかだ。
なにより名前が違うので、ふたりは馬鹿な疑惑を抱いてしまったと、笑ってその話を流した。
気になる屋台に立ち寄り、たこ焼きもクレープもケバブも分け合って食べた。
柊哉の思い出をなぞるように、ヨーヨー釣りや型抜き、射的も楽しみ、広い縁日会場を二往復半してから、神社の鳥居の下にたどり着いた。
スマホで時刻を確認すると、十七時五十分。
到着から二時間近く経っていた。
空は西の端にうっすらと茜色を残し、紫がかる空には星が瞬いている。
境内へと続く石階段には、屋台料理を食べながらたくさんの人が腰掛け、休憩していた。
浴衣姿の小さな姉妹に焼きそばを食べさせている母親もいて、真衣は鳥居の太い柱の横から、その親子をぼんやりと見つめていた。