183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
母に帰るよと言われたが、まだ苺飴を食べていないのにと真衣が渋り、それでいくらかお小遣いを渡された気がする。

『変な人についていったら駄目だよ。食べたいもの食べたらすぐ帰っておいで』と言われ、母と妹は先に祖父の家に戻ったのだ。

苺飴を食べることはできたけれど、ひとりぼっちでつまらないと思いつつ、真衣は神社の石階段に座っていた。

そうしたら、見知らぬ少年が近づいてきて、『迷子?』と聞かれた。

遊び相手が現れて嬉しくなった真衣は、日暮れまで縁日を満喫し、帰ったら『遅すぎる。心配したんだから』と母と祖父にも叱られたのだ。

そこまで聞いて驚きに目を見開いている柊哉に、真衣は慌てて付け足す。

「まだ期待しないで」

真衣が思い出したことは、柊哉の九歳の時の話とピタリと符合するが、それでも自分がその女の子だという自信がない。

「もしかすると、柊哉の話を聞いた後だったから、そんなふうに思っただけかもしれない。記憶の捏造とでもいうのかな。嘘はついてないけど、私の頭が勝手に作り出した妄想かもしれない」

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