183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣と柊哉が二学年離れていることや、真衣の祖父の家がこの近所にあったこと、妹がいることは間違えようのない事実であるけれど、本当に九歳の少年に声をかけられたのかは確信が持てなかった。
十二月生まれである真衣は当時、六歳の小学一年生だ。
記憶はもどかしいほどに朧げである。
期待しないように釘を刺したためか、柊哉は落ち着こうとしているように見えた。
深呼吸してから、「お前の本名、えりかということはないよな?」と真面目な顔で確認してくる。
名前が違うというのが、この問題の大きなポイントであるからだ。
真衣は残念そうに半笑いで頷いた。
「婚姻届けに書いた通り、正真正銘、私の名前は真衣だよ。やっぱり私じゃない。従姉が恵梨香というんだけど、私より三つ上だから柊哉の思い出の子とは違うよね。恵梨香お姉ちゃんも、このお祭りに来ていた年もあったんだけどな……」
賑わう屋台通りに振り返れば、無数に吊るされた提灯が風情ある明かりを灯している。
それを見ながら真衣が呟いたら、柊哉に肩を強く掴まれた。
「ちょっと待て」
「なに?」
十二月生まれである真衣は当時、六歳の小学一年生だ。
記憶はもどかしいほどに朧げである。
期待しないように釘を刺したためか、柊哉は落ち着こうとしているように見えた。
深呼吸してから、「お前の本名、えりかということはないよな?」と真面目な顔で確認してくる。
名前が違うというのが、この問題の大きなポイントであるからだ。
真衣は残念そうに半笑いで頷いた。
「婚姻届けに書いた通り、正真正銘、私の名前は真衣だよ。やっぱり私じゃない。従姉が恵梨香というんだけど、私より三つ上だから柊哉の思い出の子とは違うよね。恵梨香お姉ちゃんも、このお祭りに来ていた年もあったんだけどな……」
賑わう屋台通りに振り返れば、無数に吊るされた提灯が風情ある明かりを灯している。
それを見ながら真衣が呟いたら、柊哉に肩を強く掴まれた。
「ちょっと待て」
「なに?」