183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「俺があの女の子をえりかちゃんと呼んでいたのは、浴衣に名前が縫い付けられていたからで、本人に聞いたわけじゃないぞ」
「うん。それがどうし……あっ!」
真衣と柊哉はハッとした顔で、声を揃えて言う。
「浴衣のお下がり」
ひとり親である母は一生懸命に働いてくれたが、金銭的な余裕はなく、子供の頃は従姉からお下がりをもらってよく着ていた。
真衣の記憶にはないけれど、きっと浴衣もそうだろう。
従姉の名前が書かれた布は、取り外すのを忘れていたか億劫だったかで、そのまま着せられたと考えることができる。
彼の思い出の女の子が自分であるという疑惑が、かなり真実味を帯びてきたが、決定的な証拠がほしいところだ。
真衣はまだ喜ぶまいと真剣な顔をして、柊哉に問う。
「記憶力に自信があると言っていたよね。えりかちゃんの顔、はっきり覚えてる?」
「ああ。似顔絵を書けるほど鮮明に記憶している。絵心はないが」
「それなら確かめる方法があるよ。妹に電話してみる」
真衣はショルダーバッグからスマホを取り出した。
妹の亜由は二十四歳で、都内の食品会社に勤めている。
「うん。それがどうし……あっ!」
真衣と柊哉はハッとした顔で、声を揃えて言う。
「浴衣のお下がり」
ひとり親である母は一生懸命に働いてくれたが、金銭的な余裕はなく、子供の頃は従姉からお下がりをもらってよく着ていた。
真衣の記憶にはないけれど、きっと浴衣もそうだろう。
従姉の名前が書かれた布は、取り外すのを忘れていたか億劫だったかで、そのまま着せられたと考えることができる。
彼の思い出の女の子が自分であるという疑惑が、かなり真実味を帯びてきたが、決定的な証拠がほしいところだ。
真衣はまだ喜ぶまいと真剣な顔をして、柊哉に問う。
「記憶力に自信があると言っていたよね。えりかちゃんの顔、はっきり覚えてる?」
「ああ。似顔絵を書けるほど鮮明に記憶している。絵心はないが」
「それなら確かめる方法があるよ。妹に電話してみる」
真衣はショルダーバッグからスマホを取り出した。
妹の亜由は二十四歳で、都内の食品会社に勤めている。