183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「初恋相手だと言ったら、お前が嫌な気分になるんじゃないかと思ったんだよ」

「私、子供にやきもちなんか焼かないよ」

(本当は少し、えりかちゃんを羨ましく思ってしまったけど……)

「妬けよ」「結局、私だったんだから妬いたら馬鹿でしょ」と言い合いを楽しんでいたら、いつの間にか夜は濃くなり、石階段に座っていた親子の姿も消えていた。

木立の隙間を抜けてきた夜風が冷たく感じて、真衣は肩掛けしていたカーディガンに袖を通す。

「そろそろ帰る?」と問いかけたのに、別の質問を返された。

「離婚までひと月切ったな。お前、どうしたい?」

提灯の明かりがここまで届かないせいか、柊哉の真顔が暗い表情に見える。

それまでの楽しい気分が急降下して、真衣は胸に切なさを覚えた。

彼の初恋相手が自分であることに喜んでしまったせいなのか、今の生活をやめるのが惜しくなる。

けれども、自分からそれを伝える気はない。

好き合って結婚したわけではないので、ずるずると一緒にいてはいけないと思うからだ。

「どうしたいって……他に選択肢があるような言い方はやめて」

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