183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
柊哉の方を見ずに冷静に言うと、「そうだな。悪かった……」と、珍しく素直に非を認める返事をされた。

それから手を握られ、気を取り直したような明るい声をかけられる。

「真衣、参拝してから帰ろう。御守りも買いたい」

「なんの御守り?」

「家内安全。あとひと月、仲よく平和に喧嘩できますように、という願掛けだ」

プッと吹き出して笑ってしまえば、切なさを心の隅に追いやることができた。

うじうじするより、楽しくひと月を過ごしたい。

仮初の夫婦は手を繋いで鳥居をくぐり、参道を進む。

真衣の左手の薬指にはめられている結婚指輪を、柊哉が指先でいじっていた。



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