183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
ボイラー室で、別れた女性と電話していた柊哉は、辛辣な言葉で相手を傷つけていた。
(柊哉は私のはっきりさっぱりした性格を買ってくれている。そういう私だから、一緒にいて気が楽だと言ってくれた。それなのに、出ていきたくないと泣いたら、幻滅されるよね。それだけは嫌)
最初は彼にどう思われようが少しも気にしなかったのに、いつの間にか、嫌われることを恐れるようになっていた。
これまでの人生で何度か恋をし、交際経験はふたりという真衣だが、ここまで臆病になったのは初めてで、自分でも驚いている。
本気の恋が芽生えたのを自覚しているからこそ、苦しくて、自分に嘘をつこうとする。
(大丈夫。まだ心にブレーキをかけられる程度の想いだから。気の迷いみたいなもので、離婚後にはやっぱり恋じゃなかったとわかるはず……)
社屋を斜めに見ながら赤信号で足を止めると、「おはよ」と声をかけられ、隣に和美が並んだ。
「おはよ。同じ電車に乗ってたんだ」
「そうみたい。改札出たところで真衣がチラリと見えたんだけど、追いかけられなかった。これのせいで」
(柊哉は私のはっきりさっぱりした性格を買ってくれている。そういう私だから、一緒にいて気が楽だと言ってくれた。それなのに、出ていきたくないと泣いたら、幻滅されるよね。それだけは嫌)
最初は彼にどう思われようが少しも気にしなかったのに、いつの間にか、嫌われることを恐れるようになっていた。
これまでの人生で何度か恋をし、交際経験はふたりという真衣だが、ここまで臆病になったのは初めてで、自分でも驚いている。
本気の恋が芽生えたのを自覚しているからこそ、苦しくて、自分に嘘をつこうとする。
(大丈夫。まだ心にブレーキをかけられる程度の想いだから。気の迷いみたいなもので、離婚後にはやっぱり恋じゃなかったとわかるはず……)
社屋を斜めに見ながら赤信号で足を止めると、「おはよ」と声をかけられ、隣に和美が並んだ。
「おはよ。同じ電車に乗ってたんだ」
「そうみたい。改札出たところで真衣がチラリと見えたんだけど、追いかけられなかった。これのせいで」