183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
和美の指摘に笑って頷きつつも、心の中では、そんなことはないと否定していた。

(ここ最近の私は、好きだと言ってみたらどうなるかと、もしものことばかり考えている。結局は、離婚は免れないという結論に落ち着くけれど……)

信号が青に変わって歩き出したら、また「おはよ」と声をかける人が現れた。

紺色のスーツ姿で中肉中背、スポーツをしていそうな短い髪に、人懐っこい笑みを浮かべた彼は、小林亮。

真衣を真ん中に三人並んで歩きながら、今朝はやけにやる気に満ちた笑顔を見せる亮が声を弾ませる。

「真衣、なんかいいことあったのか? 顔が明るいな」

「え……そう見える?」

「おう。仕事前なのに楽しそうな顔してる」

(なんで? 落ち込んでると思われたくないけど、和美には見破られそうになったのに)

真衣は不思議に思って亮を見つめ、和美が呆れ声で指摘を入れた。

「いいことあったのは、亮の方なんじゃないの? 亮の場合、自分が絶好調の時には、相手もそうだろうと思いがちだよね」

なるほどと納得しつつ、真衣は「絶好調なの?」と笑顔の亮に問いかけた。

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