183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「あ、ごめん! 忘れてたというか、他に優先して考えなくてはならないことができたから。それに気を取られてたんだよ」

柊哉が不満げな息をついたら、真衣のルームウェアのポケットでスマホが震えた。

メッセージの通知ではなく電話のようで、バイブ音が響き続ける。

(きっと亮だ……)

真衣が返信しないことに焦って、電話をかけてきたのだと推測された。

ポケットに柊哉の視線が向いて、ヒヤリとする。

「電話か?」

「う、うん。友達だと思う。部屋で電話してくるね」

お土産をダイニングテーブルに置いた真衣は、小走りに廊下に出て自分の部屋へ。

ベッドの中央に横座りし、画面に表示されている小林亮の文字にため息をついてから、電話に出た。

開口一番、≪怒った?≫と聞かれて否定する。

「怒ってないよ。返事に困っていただけ。ねぇ亮、この話は来週にして――」

≪真衣、頼むって。お試しでいいから≫

「ごめん、無理なの。亮のことは友達としか思えない。これが切っ掛けで避けたりしないよ。亮が嫌じゃないなら、今後も友達として仲よくするから」

≪じゃあ、友達として、ふたりで食事や映画に出かけるのはアリ?≫
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