183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
(それって、ほぼデートでしょう……)
こんなにしつこい人だったかと、真衣は戸惑っていた。
もしかすると五年の営業経験が、亮を諦めの悪い男にさせてしまったのかもしれない。
営業マンとしての食い下がりや駆け引きを、ここで発揮されては困ると、真衣の顔は曇る。
「亮の気持ちを聞く前なら、ふたりで出かけるのもアリだったけど、今はナシ。亮はデートのつもりで臨むでしょ? 私はそんな気ないのに迫られたら困るもの」
つい厳しめに断ってしまい、亮の心の傷を心配したが、交渉はなおも続く。
≪ワンチャンス。一回だけデートしてくれ。頑張って真衣を楽しませるから≫
「頑張られると困るの。私、好きな人がいるって言ってるのに……えっ!?」
手からスマホを抜き取られて驚いた。
振り向けば柊哉が、険しい顔をして立っている。
真衣は慌ててベッドに膝立ちしてスマホを取り返そうとしたが、片手で手首を握られて阻止され、柊哉が電話に出てしまう。
「営業部の小林か。しつこいぞ。お前はふられたんだ。諦めろ」
亮の声は聞こえないが、おそらく誰だと聞いたのだろう。
柊哉が怒りを堪えているような低い声で答える。