183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
燃えるような攻撃的な目をしている彼に負けまいと、真衣は冷たい目をして言う。

「強制的に好きだと言わせて、それで柊哉が満足なら言ってあげる」

ベッド上で押し倒されているというのに、甘さは一切なく、お互いに探るように相手の目の奥を覗いていた。

数秒して柊哉が目を逸らし、独り言のように呟く。

「なんだ……。好きな男って、俺じゃないのか……」

真衣の上から下りた彼が部屋を出ていき、向かいの洗面脱衣室のドアが開けられた音がした。

きっとこれからシャワーを浴びるのだろう。

真衣は緊張が解けてホッと息をつきつつも、針で刺されたような胸の痛みに苦しんでいる。

(好きだと言わせてどうしたかったの? もし、私を手放したくないと思っているのなら、離婚をやめると言ってよ。言わないのなら、所詮その程度だと思って諦めるしかないじゃない……)

離婚まであと三日。

両腕で顔を覆った真衣は、離れがたい想いと闘っていた。


月曜は真衣の心を映したかのような土砂降りの雨。

今日で契約結婚は終了だ。

帰宅後に離婚届にサインをし、役所の時間外窓口へふたりで届けにいこうと昨日話した。

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