183日のお見合い結婚～御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない～

残念ながら口に合わなかったようで、魚のフライをひと口かじって、「油っこい」と置いてしまった。

そして顔をしかめたまま、亮について話す。

「彼氏がいないというのは嘘なのかと聞かれて私も困ったけど、真衣も恋愛を頑張っている最中だからと言ったら、一応納得してた。土日もたっぷり話を聞いてあげたし、少しは落ち着いたんじゃないかな」

「ありがとう。でもその説明、間違ってるよ」

「どの辺が？　芹沢社長のこと好きなんでしょ。意地を張らずに素直になりなよ」

「離婚届を今日の夜、一緒に出しにいこうと、昨日相談したのに？」

和美は少し黙ってから、「もったいない」と残そうとしていた魚のフライを食べている。

きっとフライについて言ったのだと思うけど、真衣は自分のことを言われた気がしてうつむいた。

サンドイッチを買ったものの、食べる気になれず、パッケージも開けていない。

頭の中は柊哉のことでいっぱいで、今夜他人に戻るのだと思えば苦しくて仕方なかった。

（柊哉は今頃、社長室で須藤さんとお昼を食べているのかな。話題は仕事のこと？　それとも私のこと……？）