183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
金曜の夜の荒っぽさが嘘のように、土日の柊哉は優しく機嫌がよかった。

ふたりで海岸線をドライブし、日用品の買い物をして料理まで一緒にした。

『やってみると料理は楽しいな。これからはなるべく自炊するか』と彼は笑って言った。

起きてから真衣がベッドに入るまで側にいた柊哉だが、夜中は彼の寝室からパソコンのキータッチの音が微かに聞こえたので、仕事をしていたのだと思う。

忙しいと言ってくれたら、自分に構わずに仕事をしなよと真衣は話したことだろう。

言ってくれなかったから、彼の時間をふたりのために使ってしまったと申し訳なく思ったが、それは柊哉が望んだことであったのかもしれない。

(柊哉もきっと寂しいと思っている。それでも離婚をやめようと言わないのは、私を愛せる自信がないからじゃないかな。愛のない夫婦を続けることに意味はない。寂しさなんて、元の生活に戻ってしばらくすれば消えてなくなるはず。人間は慣れる生物だから……)

真衣が着ているベージュのジャケットと膝丈タイトスカートのオフィススーツは、柊哉に買ってもらったものだ。

< 216 / 233 >

この作品をシェア

pagetop