183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
すると「元気にしているぞ」と柊哉に言われた。

「おじいちゃんに会ったの?」

「いや。おばあちゃんから電話で聞いた。この前ふたりで熱海に旅行したそうだ」

「なにそれ、おじいちゃんから聞いてない!」

「まぁいいだろ。恋人や妻と仲良くやっている話を男がするのは恥ずかしいものだ」

真衣は浮かせた腰を椅子に戻し、箸を持ち直す。

「柊哉は私の話を須藤さんにしないの?」と何気なく問いかければ、彼の眉間に皺が寄り、頬がうっすらと色づくのがわかった。

「教えない」

(その返答、話してるってことじゃない。どうせ生意気で可愛げないとかの愚痴でしょ。なんで恥ずかしそうにしてるの……?)

「食べる気がしなくて昼食を抜いた」と言った柊哉が肉じゃがのお代わりを希望し、真衣はすぐに用意する。

幸せそうに頬張る彼を、真衣も同じ心持ちで見ながら、次に話したのは五月の墓参りのことだ。

「嬉しかったよ。柊哉の亡くなったお母さんに紹介してもらえて。あの時かな。柊哉の妻なんだと心から実感できたのは」

「そうか。俺はあの時……お前のこと試してた」

「試す?」

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