183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
勲たちを説得できそうな良策を期待している真衣に、彼は顔をしかめて嫌そうに言い放つ。

「俺と結婚しろ」

驚きのあまり、真衣の目玉が飛び出しそうになる。

どんな道筋を辿ったら、そんな結論になるというのか。

彼の心がさっぱり理解できない真衣は、混乱する頭で問いかける。

「あの、前から私を好きだった……とかですか?」

すると彼の眉間の皺が深まった。

「なんで俺が、なんの取り柄もなさそうな女に惚れないといけないんだ」

「ひどっ」

確かにこれといった魅力がないのは自覚していても、親しくもない他人に言われると腹が立つ。

端整な顔を睨むように見ながら、強気に言葉を返した。

「だったらどうして私と結婚したいと言うんですか。私は祖父に弱みを握られてますけど、副社長は違うでしょう。はっきり拒否してもらわないと困ります」

「祖母を泣かせろというのか? 最後の願いだと言われたんだぞ。この俺が、おばあちゃんの頼みを断れるわけないだろ!」

声を荒げて異常な祖母想いを主張した彼に、真衣は開いた口が塞がらない。

(知らないわよ、そんなの。どんだけ、おばあちゃん子なのよ……)

< 28 / 233 >

この作品をシェア

pagetop