183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「駄目だろ。祖母の夢は、俺たちを結婚させることだ。祖母はお嬢様育ちで少々夢見がちなところがあるが、抜かりない人でもある。婚姻届けを提出するまで見届けるはずだ」

(どうしよう。離婚前提での半年間の契約結婚か……)

それなら人生を犠牲にするとまでいかず、祖父からの学費返還や漫画本の処分を要求されずにも済み、真衣にとってメリットがある。

しかし、戸籍にバツがつくのは気になるところ。

いつか結婚したいと思う相手が現れた時に、離婚歴が障害になるかもしれない。

腕組みをして渋い顔で悩んでいると、もう一押しとばかりに副社長が条件を追加する。

「離婚時に慰謝料として一千万円を支払う。これならどうだ?」

「い、一千万!? ぜひ、お願いします」

戸籍の傷という心配が吹き飛んだ。

それだけのお金があれば、欲しくても我慢していた乙女漫画が山ほど買える。

レンタル倉庫をもうひとつ借りて、勲の家に置かせてもらっている大切な蔵書を移せば、もう脅されることもない。

即答で了承した真衣に、副社長はニヤリと口角を上げる。

「契約成立」

差しだされた彼の右手と握手を交わす。

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