183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「半年間、よろしくな。真衣」

「呼び捨て……?」

「俺の妻だからな」

片目を瞑り、いたずらめかしたように微笑んだ彼に、真衣の鼓動が跳ねた。

妻という言葉が、妙にくすぐったい。

性悪だと知っていても、見た目は極上なので、乙女心が刺激されてしまう。

「じゃあ、私も……。柊哉、よろしく」

照れながら、名前で呼んでみたら、せっかく素敵に微笑んでいた彼の眉間に皺が寄る。

「お前に呼び捨てにされると、腹が立つな」

「なんでよ。私の夫なんだから、いいでしょ。社内では副社長として配慮するけど、家の中では気を使わないよ。疲れちゃう」

「ひと言、言えば、ふた言も三言も返ってくるんだな」

呆れ顔の彼だが、そのような真衣の性格をマイナスに捉えてはいないようだ。

「媚びる女より、楽でいい。戻ろう」

再び口角を上向きにした彼が、先立って来た道を引き返す。

ふたりで話していたのは、十五分ほどであろうか。

座敷に戻れば、食器は下げられて、代わりにお茶と生菓子が用意されていた。

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