183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
泡を流し終えて湯を止め、シャワーヘッドを壁にかける。

バスルームのパネル時計は、七時二十分を表示していた。

八時半にこの家を出れば、九時からの始業にちょうどよく、支度の時間は一時間以上ある。

ゆったりした気持ちで浴室を出た真衣は、借り物のフワフワな高級バスタオルに手を伸ばした。

脱衣場と同じ空間に洗面台と洗濯乾燥機があり、カーテンで間仕切ることができる。

もちろん、しっかりカーテンをしめて廊下に続くドアに鍵もかけているので、うっかり覗かれる心配はない。

それで気を抜いている真衣が、さっぱりした気持ちで髪と体を拭いていたら……突然、ドアが開けられた音がした。

思わず悲鳴をあげても、構わずに入ってきたのは柊哉だ。

「なんで!? 鍵、かけたのに」

慌ててバスタオルを体に巻き付け、カーテン越しに問うと、淡々とした声で返される。

「鍵はコインを使って開けた。朝の忙しい時に閉めるなよ。洗面台を使えないだろ」

どうやら柊哉は歯を磨いている様子。

文句の言葉の後半に、シャカシャカという歯ブラシの音がかぶっていた。

「少しくらい待てるでしょ。あ、もしかして……」

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