183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
『妻だと知っているの、おじいちゃんと絹代さんだけじゃない。結婚を公にしないという条件を出したのはそっちでしょ。私が安物を着ても、柊哉が批判されることはないよ』

『俺の気分の問題だ。それに、俺たちの結婚を知っている奴はまだいる』

誰のことかと眉をひそめたが、すぐに思い出した。

『総務のなんとかさんね。健康保険や年金の手続き上、仕方ないけど、完璧に口止めするし給料明細は旧姓のまま出させるから部署への連絡もいらない。気にするな、と前に私に言ったよね。その人の目を気にしろっていうの?』

『違う。もうひとりいる。俺の秘書の須藤啓介(すどうけいすけ)には話したからな』

『えっ、なんで!?』

『俺のスケジュール管理をしているからだ。スケジュールの組み方に、独身者、妻帯者向けがあるんだよ。心配はいらない。啓介は幼馴染で信用できる奴だ。あいつから秘密が漏れることはない』

(勝手なことばかり言って。妻帯者向けのスケジュールってなに? まさか、私と自宅でゆっくり過ごせるよう、業務時間を調整しているってこと? 離婚する予定の妻に気を使ってどうするのよ……)

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