183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
そのように、柊哉とは顔を合わせるたびに口喧嘩をしており、相性が悪いと真衣は感じている。

今も、鍵を開けて洗面脱衣室に侵入しておきながら、謝りもせずに、お前の裸は見たくないなどと失礼発言ばかりだ。

頬を膨らませた真衣は、カーテンの向こう側に厳しい口調で言う。

「歯磨き終わったんでしょ。早く出ていって」

「言われなくてもそうする。俺、今日は早めに出るから。急ぎの案件抱えているんだ。着替えを覗いてやれなくて悪いな」

「そ、そんなこと頼んでない!」

ムキになる真衣を面白がっているのか、柊哉は楽しげな笑い声を残して廊下に出ていった。

からかわれたとわかっていても、真衣の頬は熱くなる。

(あの人、見た目だけは極上のイケメンなの、わかってるのかな。恥ずかしいことを言われたら、返答に困るんだけど……)

バスタオルの折り返しを解くと、体から離れて、パサリと足元に落ちる。

湯上りの瑞々しい胸が勝手にドキドキと高鳴り、早く落ち着こうと、深呼吸を繰り返す真衣であった。


日葉生命保険の自社ビルは七階建てで、企画部のフロアは三階にある。

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