183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
間もなくお昼休みという時間、真衣は机に肘を突いた手で額を押さえ、ノートパソコンの画面とにらめっこをしていた。

(もっとわかりやすい魅力をと言われても、これ以上還元率を上げられないし、困ったな。この保険に加入してくれる人は、年間二百人いればいいとこでしょう。少子化で学資保険が売れないのは、私のせいじゃない)

企画部の仕事とは、商品の開発や従来商品の内容の見直し、それらを売り出すためのキャンペーンを打ち出すことが主である。

保険会社なので、商品はもちろん保険だ。

真衣は今、新しい学資保険の開発担当チームに入っている。

市場調査とマーケティング、他社商品の研究を経て、チーム内で意見を交わしながら作り上げていくので、数カ月、場合によっては年単位の月日を開発にかける。

やっと形になっても、重役に提案した段階で却下されることも多く、努力が成果に結びつきづらい、メンタル的になかなかハードな部署である。

そのせいか、八十人ほどいる企画部の人員は、性格的にサバサバと、気持ちの切り替えが早いタイプの人が多いように思う。

真衣もそのひとりだ。

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