183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
和美のスタイルのよさや着こなしに、日々感心はしても、真衣は羨ましいと思わない。

自分は自分……そういう考え方をするので、他者と自分を比較して落ち込むことはなかった。

ただ、昨日、オフィススーツが安物だと柊哉に批判されたことは、少々心に引っかかっている。

それで今日はスーツではなく、ボウタイブラウスに落ち着いた薄い紫色のフレアスカート、カーディガンという服装にした。

企画部の社員は滅多に客対応をしないので、社会人として常識的な服装とだけ言われている。

男性は皆スーツだが、女性社員は真衣が今着ているような服装の人も数名いるので、目立ちはしない。

けれども、和美には指摘される。

「今日はスーツじゃないんだ。珍しい」

不思議そうな目を向けられて、真衣は苦笑いしてごまかそうとする。

「うっかり全部、クリーニングに出しちゃった。組み合わせを考える手間が省けて、スーツの方が楽なんだけどね」

「そうなんだ」

和美はあっさりと信じてくれた……というよりは、それほど強い興味はなかったのだろう。

「今日はどこにする?」と、ランチ場所の相談に話は変わった。

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