183日のお見合い結婚～御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない～

珍しく言い返さない柊哉は、缶ビールを冷蔵庫にしまうと、大人しくダイニングの椅子に腰かけている。

数分して彼の前に、温かなご飯と味噌汁、肉じゃがとサラダが並べられた。

テーブルの横に立つ真衣が、説明的に言う。

「どうぞ食べて。口に合わなければ残してもいいよ。ご飯と味噌汁だけ、お代わりあるから」

御曹司の彼なので、子供の頃から贅沢な食生活を送ってきたのだろう。

このような簡単メニューで彼が満足するとは思えないが、目玉焼きとキャベツ炒めだけの夕食よりはマシだと思って食べてもらいたい。

目の前の料理にじっと視線を止めたまま、柊哉は真顔で黙っている。

（肉じゃがは苦手なのかな。それとも貧相な夕食メニューに驚いてる？）

嫌なら食べなくていいと言おうとしたら、「すごい……」と柊哉がため息交じりに呟いた。

感動しているような、しみじみとした言い方だ。

「いただきます」

箸を手に取り、味噌汁を飲んで、ホッと息をつく彼。

続いて肉じゃがを口に入れ、味わうように咀嚼して飲み込んだら、真衣に向けて微笑んだ。

「うまい。俺、肉じゃが好きなんだ。少し甘めで俺好みの味付けだ」