183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「そう。よかった……」

自然な笑みを浮かべて好意的な感想を言ってくれた彼に、真衣は戸惑う。

(御曹司なのに、平凡な肉じゃがに喜んでる。味覚は庶民の私と変わらないのかな……)

柊哉は勢いよく、美味しそうに食べている。

その気持ちのいい食べっぷりを見ていたら、先ほどからかわれた悔しさは薄らいで、代わりに温かな思いが心に広がった。

(お腹が空いていたんだ。もっと色々、作ればよかった……)

柊哉の分の肉じゃがは、真衣が食べたものの二倍も量があるけれど、足りないのではないかと心配になる。

「おかずが足りなかったら言って。トンカツと唐揚げとハンバーグを冷凍保存してあるから、温めて出すよ」

「真衣の手作り?」

「うん。昨日までの三日分の夕食」

「俺の分も作ってくれてたのか……。なんで言わないんだよ」

焦っているような険しい顔で見られたが、真衣を非難しているのではなく、気づかなかった自分に後悔しているような言い方である。

なぜ柊哉が後悔するのだろう……それを理解しかねる真衣は目を瞬かせ、夕食の支度をしたわけを淡白な口調で説明する。

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