183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
微笑んで手を伸ばし、真衣の頭をポンポンと親しみを込めて軽く叩いたら……手を払い落とされてしまった。

これには驚いた。

これまで柊哉が交際した何人かの女性たちは、それをすると皆、頬を染めて笑ってくれたので、女というものは頭をポンポンされるのが好きだと思い込んでいたのだ。

『私、そういうの嫌いなの』と、真衣ははっきり言った。

『見下されている感じがする。柊哉は二歳上で副社長だけど、家の中では対等でいたい』

『見下してはいない。一種の愛情表現だろ。ムキになるなよ』

『愛情なんかないくせになに言ってるの? もう、朝は忙しいんだから、突っかかってこないでよ』

『それはお前の方だろ!』

その後も七、八分ほど口論が続き、気づけばごみを捨てに行くより遥かに時間を取られてしまった。

それで柊哉は仕方なく、車で出勤した。

日葉生命保険本社ビルの地下駐車場は、社用車でほぼ埋まっており、五台分しかない来客用の貴重なスペースを使ってしまったのだ。

真衣のせいで……。

(なんであいつは、ああいう言い方しかできないんだ。黙っていれば、可愛い顔をしているのに)

< 69 / 233 >

この作品をシェア

pagetop