183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
好意的な目で見ているのは、真衣にも伝わっているのだろう。

どうして?と言いたげに目を瞬かせている彼女に、柊哉は半分本心で、残りは冗談として言う。

「なぜだろうな。お前が可愛く見えてきた。キスしてやろうか?」

真衣の反応を楽しみに待つ。

(真衣なら当然、からかわないでと怒るよな。いや、案外、照れるかもしれない。赤面されたら、我慢できずに唇を奪ってしまいそうだ)

しかしながら、その予想も覆される。

呆れ顔の真衣が、アヒル口で不満げに言う。

「ビンタしてあげようか。もう、また私の漫画、勝手に読んだでしょ。その台詞、『はっちゃけハイスクールブギウギ』に出てくる玲央先輩のものだから」

「それは、まだ読んでないぞ……」

柊哉は頬を引きつらせる。

素で言ったことが、奇妙で古臭いタイトルの乙女漫画と被っていると言われ、ショックを受けていた。

迫る気もからかう気も失せて、もとのソファに座り直すと、真面目な話題に変える。

「今度の土曜、暇あるか? 付き合ってもらいたい場所がある」

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