183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「いいけど、ショッピングなら断る。もう充分にブランド物を買ってもらったから、これ以上はなにもいらないよ。私に買い与えても宝の持ち腐れ」

真衣を買い物に誘い、高級な服やバッグや靴をまとめ買いしたのは、結婚して初めての週末だった。

ありがとうという言葉はもらったが、嬉しそうにはしていなかったように思う。

交際相手に買ってとねだられたことはあっても、いらないと言われたのは初めてだ。

真衣は柊哉が思う一般的な女性像から、ところどころ外れていた。

それが面白いと感じてクスリとし、真衣になら自分の生い立ちを話してもいいかという気になった。

「買い物じゃない。墓参りだ」

「お彼岸でもお盆でもないのに?」

「明後日が母の命日なんだ。毎年、花を手向けに行く」

「柊哉のお母さん、亡くなっているんだ……あれ? じゃあ、会長の今の奥さんは後妻さん?」

日葉の会長である柊哉の父は、社内の行事ものやセレモニーの場で妻を伴うことがある。

柊哉の義理の母の存在を、真衣は知っていたようだ。

柊哉は胸にチクリとした痛みを覚えつつも、顔に出さずに何気ない口調で言う。

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