183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「戸籍上、間違いなく夫だ。墓にいる母さんに、お前のことは妻だと言って紹介するつもりだから……」
真衣の視線を頬に感じた。
景色を楽しむのを中断したようなので、柊哉は窓を閉める。
自宅を出てから一時間半ほどが経ち、千葉県に入っていた。
母親の墓は海の見える高台の寺院墓地にある。
母に実家はない。本当はあるのだろうが、両親や兄弟たちとの付き合いは一切なく、柊哉は葬式でも母の親戚に会ったことがなかった。
都内の芹沢家の墓に愛人を入れるわけにもいかないので、柊哉の父親が母のために、ここに墓を建てたのだ。
あと十五分ほどで到着するので、そろそろ真衣に、生い立ちについて話さなければならないと思っていた。
しかし、話そうとして吸った息が、ため息として漏れる。
打ち明けると決めたのに、心がまた不安に揺れだした。
(同情はしてくれるな。ただ理解して、自分という人間を丸ごと受け入れてほしい……)
半年間の妻に、それを求めていいものかと、迷いが胸に燻る。
真衣はなにも言わず、柊哉が話し出すのを待ってくれているようだ。
真衣の視線を頬に感じた。
景色を楽しむのを中断したようなので、柊哉は窓を閉める。
自宅を出てから一時間半ほどが経ち、千葉県に入っていた。
母親の墓は海の見える高台の寺院墓地にある。
母に実家はない。本当はあるのだろうが、両親や兄弟たちとの付き合いは一切なく、柊哉は葬式でも母の親戚に会ったことがなかった。
都内の芹沢家の墓に愛人を入れるわけにもいかないので、柊哉の父親が母のために、ここに墓を建てたのだ。
あと十五分ほどで到着するので、そろそろ真衣に、生い立ちについて話さなければならないと思っていた。
しかし、話そうとして吸った息が、ため息として漏れる。
打ち明けると決めたのに、心がまた不安に揺れだした。
(同情はしてくれるな。ただ理解して、自分という人間を丸ごと受け入れてほしい……)
半年間の妻に、それを求めていいものかと、迷いが胸に燻る。
真衣はなにも言わず、柊哉が話し出すのを待ってくれているようだ。