183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
「教えない方がよかったか?」

「ううん、聞いてよかった。柊哉がなんでそういう性格なのかがわかった気がするから。喧嘩も減りそう。柊哉が嫌がること、してほしいこと、今後はなんとなくわかると思う」

ニコリと微笑んだ真衣を、柊哉は驚いて見ていた。

鼓動が急激に速度を上げている。

プップと後続車からクラクションを鳴らされて、信号が青に変わっていたことに気づき、慌ててブレーキペダルから足を外した。

「真衣……」

「なに?」

「お前と啓介って、血縁関係にあるのか?」

「ないよ。なに言ってるの? 須藤さんは見かけたことがある程度で話したこともない」

なんの脈絡もなく、おかしなことを言い出したと、真衣は思っているのだろう。

寺院墓地はすぐ近くで、木立の中の細道に車を走らせつつ、柊哉はまだ動悸を抑えられずにいた。

「さっき、お前が言っていたこと、ほぼそのままに啓介に言われたことがあるんだ。あいつに初めて俺の家の事情を打ち明けた小六の時だ。『お前が一番自分を可哀想だと思っているんじゃないか? そう思ったら負けだぞ』とも言われた」

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