183日のお見合い結婚~御曹司は新妻への溺甘な欲情を抑えない~
真衣は花と籠に入った果物をそなえてくれていた。

それをしながら柊哉は、母に話しかける。

「結婚したんだ。真衣は日葉の社員。生意気で口答えばかり。すぐ喧嘩になるが……可愛い女だ。手料理がうまい。肉じゃがは、母さんのと似た味がする」

「えっ……」と後ろで、小さな驚きの声が聞こえた。

肩越しに振り向けば、真衣が頬を染めている。

交えた視線はサッと逸らされ、恥ずかしそうにするとは珍しい。

「お前、まさか、て――」

照れているのかと聞こうとしたが、顔を赤らめたままに真衣が怒りだした。

「私も柊哉のお母さんと話したいから、そこどいて。邪魔」

「前言撤回した方がいいようだな」

「そうだよ。可愛いとか、なに言ってるの。不意打ちでそんなこと言われたら、どうしたって照れるじゃない」

「やっぱ照れてたのか……」

おかしくなって肩を揺らしながら、柊哉は真衣の斜め後ろに下がる。

真衣は墓石の正面に立つと、しゃがんで目を閉じ、手を合わせた。

ラフな格好でいいと言ったのに、清楚でクラシックな雰囲気のある紺色ワンピースに身を包んでいる真衣。

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