大切な人達よ
すでに階段まで行っている二人を追いかけながらそんな事を考える。


「零。学校は楽しい?」

「うん。でも澪華と一緒にいる方が楽しいよ。」

「ふふっ、それはありがとう。嬉しいわ。」


周りから見たらお似合いの美男美女なカップルのイチャつきにしか見えないじゃねえの。


零外に出ているときは澪華ねぇちゃんじゃなくて澪華って言ってるからなおさらだ。


「な~に。二人でイチャこらしてるの~。俺もイチャイチャしたいのに~。」


すると、キッと俺をにらむ零。そんな顔したらイケメン顔が台無しじゃねえの。


「ちなみに誰とイチャつきたいんだよ。」

「えー、そりゃ澪華に決まってるじゃないの~。」


「キモいウザイ帰れ、そして還れ。」

ちょっ、何か怖いこといってるな。


「ふふっ、二人はとっても仲良しね。」


「当たり前じゃねぇの。」「ホントに止めてよ澪華。」

ありゃ、振られちゃったじゃねえの。

っていうか、どこに向かってるかは教えてほしいんだけど。


「澪華。どこに行くの?」

おっナイスだねぇ。零ちゃん。


「ん?あっ、言ってなかったわね。司さんが働いてるヴィーナスに行こうと思って。」

おー。司さんの店は何頼んでも美味しいからラッキーじゃね。


「そっか~。そういえば話って何?」

あちゃ~。今それ聞いちゃダメじゃねえの。

「ん~。着いてから話すわね。」

「わかったよ~。」

ふー。良かったなぁ。


こんなところで零がショックで倒れたらヴィーナスまで運ぶのはごめんだしな~。


それから他愛のない話を10分ぐらい歩きながら話してたらあっという間に着いちゃったじゃねえの。


「じゃあ入りましょうか。」


チャリンチャリン。

「いらっしゃ、おっ、澪華達来てくれたのか。」

「お久しぶりですね。司さん。」

「こんにちは。司さん。」

「司さーん。久しぶりっすねー。」


「おう、今日は何食べてくんだ。」

今日はオムライスにしようかね〜。


「俺はスパゲッティーね。」

「俺はオムライスでよろすく。」

「私はアイスティーでお願いね。ついでに個室って空いてる?出来れば個室がいいんだけど。」


「空いてるぜ。お前ら専用の個室があるじゃねぇか。」


そうだったじゃねえの。俺らのためにって特別に個室を作ってくれたんだったな。

「ふふっ、ありがとう。じゃあ行くわよ。」
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