元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

再会は突然に

目覚ましが鳴る前に珍しく目が覚めた朝。
ワンルームの小さな部屋の中央に置かれたシングルベッドの上で、体を起こし大きく伸びをしながら両手をあげ、西宮杏奈は首を左右に揺らした。

自分の体をはっきりと目覚めさせる必要がある。

今日は勝負の日だった。

2週間前から今日のためにありとあらゆる準備をしてきた杏奈。
今日は仕事で新しいスタートを切る大切な日だ。

ベッドから反動をつけて出ると、杏奈は部屋にある唯一の窓のカーテンを思いきり開けた。
朝陽がまぶしく少し目を細めてから、杏奈はがらりと窓を開けて、冷たいくらいの春の朝の空気を体いっぱいに吸い込んだ。

今日は4月1日。
2週間前に新年度の人事が発表されてからというもの、杏奈はこの日のためにすべてをかけて来た。